サービス品質 Service Quality

サービス品質(Service Quality)は、80年代に米国で問題となったモノの品質革命と同じようにいかにしてサービス経済化した社会において、サービスの品質を維持するのか という問題に答えるために盛んに研究されてきた。サービス品質を維持しながらどの様にコストを削減していくのか、その時にサービス企業が注意するべき点は 何なのかを追求してきた。

サービス品質問題へのアプローチは、消費者がサービスに対して持つ知覚品質からのものとサービス・オペレーションからのものがある。これは、サービス特 に対人接触や施設の利用を伴うサービス・オペレーションでは、製品の交換が消費と同時に行われるためにオペレーションと知覚品質は引き離せない問題なっているからである。この場合に、サービス製品は返品されたり改めて品質評価される可能性はほとんど無い。品質がその場で決定されるために、品質評価のための購 入前の探索は限られたものとなってしまう。加えて無形であるサービスの品質を示す「手がかり」は限られたものとなっている。サービス品質の評価問題は、こうした品質評価の困難性と品質維持の問題はサービス経済化した社会では、適切な価格で一定の品質のサービスを手に入れることの困難さ、特に消費者の銘柄変 更の可能性を低めることで十分な競争が確保できない問題を生んでいる。

サービス品質に関する研究は、こうした問題意識を持ちながら、サービス品質をいかに計測しそのサービス品質が関連する構成概念である「顧客満足」や「再購買意図」とどの様な関係にあるのかを明らかにすることでその戦略的な意味を持ってきている。サービス品質の計測には「SERVQUAL」と 呼ばれる尺度などサービス品質をできるだけサービス産業に横断的に計測しようとする試みがなされてきた。これは、サービス・マーケティングが単なるサービ ス業のマーケティングではなくサービス(無体財)のマーケティングとして製造企業も含めた広範な問題に対応しようとする目的を持っていることに対応している。

一方、サービス品質は知覚品質として理解される以上、それが形成される過程の理解が不可欠である。消費者がどの様な手がかりを利用しながら知覚品質を形 成しているのかは、サービス企業の品質訴求のために重要なポイントとなる。サービス製品では「価格」や「銘柄」など外在的手がかりと呼ばれる手がかりが重 視されることが明らかになってきておりその利用形態や提示の仕方もマーケティング上の論点となっている。

Zeithaml, Parasuraman & Berry, "Delivering Quality Service; Balancing Customer Perceptions and Expectations," Free Press, 1990.