研究概要 Research

この研究室の研究テーマは、サービス・マーケティングに関係したものが多いのですが、消費者行動やチャネルシステムに関する研究も数多く行っています。最近ではネット上での購買行動の研究も実施されています。

取り上げられるサービス企業は数多くありますが、医療、教育、観光、流通、広告といった分野に加えて、製造企業に関係したメンテナンスや広報活動なども取り上げています。

マーケティング活動そのものもサービスですから、あらゆる企業の活動に関係する研究分野と言って良いでしょう。

サービス・マーケティングの理論的研究

サービス・マーケティングはその誕生以来多くの理論的な問題に直面してきました。特にサービス・マーケティングという独自の分野がどこまで広がりがあり、企業経営や組織の運営にどれほど貢献できるのかと言うことです。特に多くの非営利組織がサービス提供者であるという現実とほとんど全ての製造企業がサービスの提供を行っているという実態は、研究の外延を特定する上で困難な問題であり、現在でも大きな研究テーマとなっています。

サービス・オペレーションとエンカウンター

サービス生産の大きな特徴は、生産と消費の同時性です。特に人間が人間に対して直接行う行為はサービス生産の中でも最も管理が難しいものです。サービスは、提供者と消費者の協働によって作り出され、消費者のサービスへの参加の程度がサービス品質やその後の消費者の満足に影響を与えます。提供者は、消費者のサービスに対する積極的な参加を動機づけ、行動させることが重要な課題になります。森藤ちひろは医療サービスの提供において患者の果たす役割について、また医療サービスの効果について研究を続けています。また、池崎宏昭はサービス交換が行われる場面で発生する様々なバイアスに関して研究を行っています。西口真也は、店舗の外観が与えるマーケティング上の効果を実証的に研究しようとしています。

消費者情報処理の追跡システムの開発

本研究は2009年度より行っている科研費を元にした研究開発です。消費者の情報処理過程を追跡するためのネット上でのサイトの開発を行っています。詳細は「選」のページを参照してください。

観光マーケティングに関する研究

観光という製品は、生産と消費が同時に行われること、品質が不安定であることの他、サービスの担い手が多岐に亘っているため顧客(旅行者)が満足し、再訪するといった持続可能な観光を実現するには地域を挙げた取り組みが必要です。国枝よしみは、その課題解決のための枠組みを解明し、海外の先進地における事例や実証研究を通じ理論と実務の両面から観光戦略や観光マネジメントの提言を行っています。

モノやサービスを購買する際に、消費者が主観的にもつ困難性や不安を意味する知覚リスクは、購買行動に影響を与えるとされています。田中祥司は、旅行商品を対象に量的調査を行い、消費者が旅行商品に対してもつ知覚リスクのタイプ、およびその緩和策について解明しました。

米田晶は持続可能な観光地経営のための手段として着地型旅行(観光)に注目し、旅行(観光)者に選ばれ続けるために必要な観光目的地の要件についての研究を行っています。

ネット上での購買行動に関する研究

本研究は2012年度より行っている科研費を元にした研究開発です。ネット上でのショッピングサイトの開発を行っています。国枝よしみはネット上でのホテルの選択実験を西原彰宏はチョコレートの選択実験を行っています。詳細は「選」のページを参照してください。

山本奈央はインターネット上のブランドコミュニティ内での消費者間相互作用がブランドロイヤルティに与える影響に関する研究を行っています。また、ネットを利用したリレーションシップ・マーケティングの有効性に関する事例研究を行っています。

製造企業に関するサービス研究

小川秀貴は、自動車整備業の歴史的な成立過程の研究を行っています。現在の軽自動車の整備を行っていた業者が現在の自動車整備業者の大きな母体になっていることを明らかにして、自動車メーカー、ディーラー、整備業者という構造の源流が戦間期にあることを解明しました。

浦田剛は、製造企業の広報に関する研究を行っており、Web上での広報活動に関する研究を進めています。

流通企業の生産性に関するサービス研究

日本の小売企業を俯瞰してみると戦後百貨店、スーパーマーケット、GMS、コンビニエンスストアとその主役が変化しながら現在に至っています。特に百貨店はその退潮が著しい業態であり変革が求められています。一方でスーパーマーケットも経営不振に陥っているGMSに替わって地域型の食品スーパーが勢力を伸ばしています。この二つの業態のサービス生産を支えている仕組みに関する研究を行っています。