顧客満足 Customer Satisfaction

顧客満足は、サービス・マーケティング研究においても最も注力されてきた研究分野では無いだろうか。企業の競争力の源泉でもあり、サービス・オペレーションの要でもある。私たちの研究室でも顧客満足は研究上様々に利用されている。購買後に形成される顧客満足は、比較的穏やかな感情であり、評価の結果でもある。経験財としての要素が大きなサービス製品では顧客満足の役割が大きいことは当然である。

また、繰り返し購入しても品質が変化をするサービス品質は、なかなか事前に十分な情報を得ることが難しい。もちろん、モノであっても変化の激しい商品は数多くあり、季節性があったり、品質のバラツキが大きかったりするものがある。

しかし、サービス製品の品質が事前に確定してないのは、避けられないことですし、このことが全て問題というわけではない。教育や医療のようにそのサービスを受けることで需要者自身が変化をしてより良い状態になることは、望まれた結果であるからだ。

その意味でも顧客満足は、幾つかの意味で経営上も消費者行動を理解する上でも重要な概念となっている。

期待値と顧客満足の関係は、顧客満足を語る上での避けては通れない問題である。期待値は低すぎても高すぎても困った問題を引き起こす。低すぎる期待値は関与を高められず、必ずしも良い顧客になるわけでは無い。偶然良いサービスに出会って高い満足を得ることがあるかもしれないが、それはその製品カテゴリーをある程度知っていることが前提となる。反対に高すぎる期待を持った顧客は、不満足な経験をする可能性が高く、それを矯正するのに労力が必要になる。そうした場面では事前にできないこととそれに代わる提案をするなどして不満足を避けることは十分に可能である。

また、顧客満足はサービス生産への自己の参加の程度を高めてサービス品質を高めようという動機が出てくる。ここでは提供者との間で葛藤が発生する可能性が高いが、顧客の自己効力感を以下に引き出すのかは、サービス提供者の能力になるだろう。提供者が顧客の関与を必ずしも快く思わないという場面もあるし、顧客もサービス提供者が何でもやってくれると考えている場合がある。

本研究室での様々な研究でエンカウンターで発生する事象が顧客満足にもサービス品質にも影響を与えていることが明らかになっている。一般的に原因と結果として見られているこの二つの事象が双子のように考えられるのも重要な知見であろう。