消費者行動 Consumer Behavior

本研究室で取り扱っている消費者行動研究は、多岐にわたっている。従来の「消費者情報処理理論」をベースとした実証研究は、「選」の開発を始めとして基礎的な研究として展開をされている。

「選」の開発は、情報処理理論研究の流れを汲む、消費者の合理性が制限された中での選択行動を前提とした理論の実証研究のために行われている。適応的意思決定モデルと呼ばれるモデルは、消費者の意思決定、すなわち選択行動は消費者の選好を明らかにする重要な行動であるが、必ずしも正確に行われるわけでは無いことを前提としている。

ある場合には選好が逆転することも考えられ、消費者が「正しい」選択をするためには一定の支援が必要であることを示唆する研究となっている。実際に消費者の意思決定過程を追跡することは、マーケティング研究としても重要な知見を与えるものであるし、実践的な意味でも有益なものである。

以上のようなモデルは個人の選択理論を前提にしたものであるが、サービスの生産・交換では人間の相互作用が重要な意味を持つことがある。ある局面では消費者と生産者が入れ替わるようなことも考慮されなければならない。

この場合に重要になるのは、サービス提供者と消費者双方が相手に対して十分な配慮をして期待を形成することである。また、お互いが生産、消費をする能力を高めることも重要である。消費者のサービス・オペレーションへの参加の動機として重視されているのは「自己効力感」である。一方で、消費者が生産者に対して過剰な期待を持つことも結局は良い消費体験を得ることを妨げることになる。Granted BiasとDebt Biasと呼ばれる両者の関係を規定する二つのバイアスは、簡単に避ける方法が無いだけに教育や医療では大きな問題となる。

こうしたフォーマルなモデルの実証研究に対して、本研究室では発展的な考え方を応用可能なシステムに拡大することを目的としている。制御焦点理論はその一つである。これも消費者の情報処理に影響を与える課題の違い(接近的な課題か回避的な課題か)によって異なる処理が行われることを検討しています。

また、ブランドに関する研究では、ブランドに関する関与研究、オーセンティック(真正性)の研究が行われている。関与概念の整理と発展については別項で取り扱うこととしたい。

これらの研究以外にインターネット上での購買行動の追跡研究に力を入れており、この点に関しては新しいページを用意する予定である。